講義名 | 飲食店(レストラン)HACCP(2) プロセスアプローチ |
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開催日 | 2018年06月29日(金) |
時間 | 12:30 〜 13:15 |
講義内容 | 細菌が付いた食品を危険温度帯に置いたままにすると、その細菌はぐんぐん増えてしまいます。食品の原材料や調理品がどれだけ長くこの温度帯にとどまるか、通過するかで危険度が変わり、管理の仕方も変わります。しかし、メニューをたった3 つに分類(分解)するだけで、簡単に管理することができます(食品衛生管理の手引きより)。 FDAは、提供する食品の流れによって、メニューを大きく3つに分類しました。 加熱しない食品、加熱してすぐ提供する食品、加熱と冷却をくりかえす食品、そしてそれぞれのカテゴリー毎に特異的なハザードとそのコントロール方法を考えることによって、効率的・効果的なHACCPを導入する方法を考えました。 これを「プロセス アプローチ」と言います。 従来、ハザード分析を実施する際、食品メーカーは一つの製品の流れに従ってハザード分析を実施してきました。食品メーカーでは一度に一つの製品を取り扱うのが普通だからです。しかし、飲食店では、すべてのタイプの食品が同時に処理され、最終のレシピまたはメニューに沿って盛り付けされます。このため飲食店のハザード分析には、これまでのHACCPとは異なるアプローチが求められます。 |
厚生労働省の「HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた食品衛生管理の手引き」では、「これまでのHACCPは主に食品製造業に整備が進められてきたが、飲食店や販売店など小規模な事業者にもHACCPの考え方を導入することによって、より効果的な衛生管理を行うことができる」と述べられています。
今回は、飲食店(レストラン)HACCPの分野に的を絞り、
●米国FDA(2006):リテールレベル食品施設事業者向けのHACCP原則の自主的な実施のためのマニュアル
●米国ミシガン:フードサービス業の衛生担当者用トレーニングプログラム
●厚生労働省:HACCPの考えを取り入れた食品衛生管理の手引き
●大量調理マニュアル:HACCPの考え方に基づく衛生管理手法
を基にして、飲食店でのHACCPの構築、特にプロセスアプローチによるハザート分析について説明致します。
リテール分野の衛生管理は、一般的な衛生管理(PP)のみでは、作業所や製品特有の、見えないハザードに対して管理はできません。また、従来型のガラパゴス化されたHACCPでは、作業が面倒になり、実用的ではありません。(FDA 2006; Managing Food Safety)
そこで、米国FDAで開発された「プロセスアプローチ」を導入することにより、リテール分野のハザート分析が簡単に出来るようになります。(FDA2006、The Process Approach is probably less complicated than Traditional HACCP. )
飲食店でのHACCPの導入には、簡単なハザード分析により、食品の流れの中の「ハザードを見える化」することができ、見える化されたハザードに管理を集中することが出来ます。
HACCPとは、ハザード分析によって「見える化されたハザード」をコントロールする事により、食中毒を予防的に管理するシステムです。
リテールHACCPの導入により、多くの施設で実施されている「店舗衛生検査」にも、HACCP原則の導入が可能となります。
本講座では、全5回にわたりリテール分野へのHACCP導入の流れ、メニューのグループ化、プロセスアプローチ、HACCP原則の簡素化、FDAによってまとめられた「食中毒リスク」(CDC報告)を活用した店舗衛生検査への科学的アプローチ、長期的是正措置の解説に加え、AMCの導入方法についても解説致します。